概要
クアッドマイナーのFelix CTOは、韓国メディア전자신문主催のセキュリティメガビジョン2026(韓国語:시큐리티 메가비전 2026 - 사이버 시큐리티 패러다임 대전환)にて、AIトランスフォーメーション(AX)時代におけるセキュリティ運用自動化の方向性を発表した。発表では、コンテキストベースのAI検知技術と、LLMマルチエージェントを活用した統合分析技術が紹介された。また、NDR・EDR・クラウド・SaaSのデータを統合し、攻撃の全体像を再構成する構想の初期段階についても説明された。
「セキュリティメガビジョン2026」でAX時代のセキュリティ戦略を発表
クアッドマイナーのFelix CTOは、「セキュリティメガビジョン2026(韓国語:시큐리티 메가비전 2026 - 사이버 시큐리티 패러다임 대전환)」にて、「AIトランスフォーメーション時代のセキュリティ運用自動化の方向性」をテーマに講演を行った。同イベントは韓国メディア전자신문が主催した。講演では、AIエージェントの導入拡大やマルチクラウド・SaaS環境の広がりに伴い、セキュリティ運用のあり方に変化が求められている点が取り上げられた。
セキュリティ運用が直面する課題
講演では、現在セキュリティ組織が抱える運用上の課題として、以下の点が示された。
- セキュリティ組織は平均60種類以上のセキュリティ製品を個別に運用しており、製品間のデータ連携が十分でないため、組織全体の脅威を統合的に把握することが困難な状況にある
- SOC(セキュリティオペレーションセンター)では1日あたり10万件以上のセキュリティイベントと150件以上のチケット対応が発生しており、大きな運用負荷となっている
こうした課題を解決する方向性として、さまざまなセキュリティデータを統合分析し、攻撃のコンテキストと流れを理解する「コンテキストベースAIオブザーバビリティ」という概念が示された。
コンテキストデータに基づくAI検知技術
クアッドマイナーは、AX時代のセキュリティ運用における中核技術として、コンテキストデータに基づくAI検知技術を提示した。主な内容は以下の通り。
- エンドポイントおよびネットワークトラフィックの変化を、複数のAI・機械学習モデルで分析し、異常な挙動を検知
- 内部資産の通信パターンや行動データを学習し、正常な挙動との乖離を識別
- 異常検知時にリスクレベルをスコアリングし、アナリストが高リスクな脅威に集中できるよう支援
- 大規模データ処理とフルパケットベースのフォレンジック技術を統合し、ネットワーク行動分析とインシデント再構成を同時に実行
これに加え、生成AIを活用したユーザー行動分析機能を追加する見込みであることも示された。メール・掲示板・検索活動などのコンテンツ活動データを分析し、正常な業務パターンを学習した上で、内部情報漏えいや不正行為を自動的に検知する仕組みとして説明されている。
LLMマルチエージェントによる統合コンテキスト分析
クアッドマイナーは、LLMベースのマルチエージェント技術を活用し、セキュリティイベントを統合的に分析する技術も開発していると発表した。
この技術では、複数のAIエージェントが連携し、ログの要約・イベント分析・脅威評価などを並行して実行するとともに、分散したセキュリティデータを統合して攻撃の全体像を分析する。これにより、セキュリティアナリストは自然言語による問い合わせでセキュリティデータを照会し、脅威分析の結果を確認できるとされている。
この技術は、クアッドマイナーの主力NDR(Network Detection and Response)製品である「Network Blackbox(ネットワークブラックボックス)」をベースに実装が進められている。
エンドツーエンドの攻撃再構成に関する初期検討
クアッドマイナーは、NDR・EDR・クラウド・SaaSのデータを統合し、攻撃の全過程を自動的に時系列で再構成する構想について言及した。
例えば、フィッシングメールの着信、ユーザーによるクリック、アカウント侵害、内部への侵入、C2(コマンド&コントロール)通信といった攻撃の一連の流れを、一つのストーリーとしてセキュリティアナリストに提供する方式が示された。同時に、PCAPやセッションの再構成、ダウンロードファイルなどのフォレンジック証跡を自動生成することで、対応時間の短縮を目指すとしている。
さらに、MCP(Model Context Protocol)ベースのエージェントオーケストレーションについても、脅威分析・対応プロセスの自動化やエンドポイント隔離などのセキュリティ対応措置の自動実行に向けた検討の方向性として言及された。
なお、上記の技術は、クアッドマイナーが継続的に進めている技術ロードマップの一環として位置づけられている。提供時期は現時点で未定である。
本コンテンツは、韓国メディア전자신문(Jeonja Sinmun)が2026年3月10日13時20分(現地時間)に発行した記事から確認された事実に基づき構成されています。